「庭の千草」狂詩曲

室内楽、オーケストラとの共演など、多岐にわたる演奏活動の展開など、多忙を極めることになる。

受賞するかどうかも判らないうちから、何をと詩月自身思う。

それでも、無性に不安は募った。

「お前はそう言い出すと、何処かで思っていた」

エィリッヒは言いながら、詩月の肩を抱き寄せた。

「ヴァイオリン部門の受賞式後。数ヶ月のスケジュールは、自分がロボットにでもなった気分だった。あれが再び続くと思うと不安しかない」

「お前は思う通りに進めばいい。クラシックの枠に捕らわれなくていい」

5月末日、ファイナル審査最終日。

最終コンテスタントの演奏後。

審査会議がおこなわれ翌朝、審査結果が発表された。

詩月は7位、入賞圏外だった。

評価の詳細は公表されなかったが、エィリッヒは審査員の評価が高評価と低評価に分かれたのだろうと思った。