「庭の千草」狂詩曲

パルスオキシメーターの数値を観て、顔を曇らせた。

「90%……気分は? 息苦しいとか、めまいとか」

「とくには」

「けっこうヤバい数値だけど」

時任は言いながら、データを書きこんだ。

「これは食後、服用。こっちは就寝前」

数種類の薬を分け、紙コップの水を差し出し、就寝前の方はサイドボードの上に置いた。

詩月は差し出された数種類の薬を、紙コップの水で流しこんだ。

「イベントホールのピアノ、演奏していいかな?」

「理仁先生に聞いておくよ。だけど、あのピアノはちゃんと調律してあるのかな」

「確かに。ウィーンで調律の勉強もしているんだ。実技も調律師に教わっていて。未だ完璧な調律は資格がないから厳しいんだけど」

「少し元気が出たようだ。ポーカーフェイスと聞いていたけれど」

「よく言われる。でも抑えているだけだ。感情に任せると呼吸が乱れたり、動悸がしたりすることもあるから」