「庭の千草」狂詩曲

「はい」

詩月は理仁に制限をかけられ、更に退屈な入院生活になるのを覚悟した。

昼前に、詩月の担当看護師だと挨拶に来たのは、詩月が知らない看護師だった。

背もたれの後ろに酸素ボンベを取りつけた車椅子を押して入ってきた。

車椅子を詩月のベット脇に着けると、仏頂面で「時任和哉です」と名乗った。

「理仁先生から状態は概ね聞いています」

「そう、宜しく。堅苦しいのは苦手だから、普段通り話していいかな」

「それでは、こちらも」

時任は病室を出ていこうとして、振り返った。

「何もなければ、夕飯の後に。何かあれば、これで」

時任は詩月に院内スマートフオンを差し出した。

首から下げたストラップに、スマートフオンを数個ぶら下げていて。それぞれ病室番号がふってある。

「これでメッセージを送ってくれればいいから。病室での緊急時はナースコールで」

「了解」