「庭の千草」狂詩曲

「ねえ、ママ。詩月くん、何か話したいことがあったのかしら」

小百合は詩月が帰った後、テーブルの上を片付けながら訊ねた。

「お母さんのお参りに来た……みたいだけど、少し様子が変だったと思えば、そうだったかしら」

「何だか辛そうに見えたわ。ーー宗月さんの怪我が気になっている? ううん、そんな感じではなかったーーもっと大事なこと」

小百合は腕組をして、本腰を入れて考え始めた。

「ママ。わたし、ずっと気になっていることがあるの。詩月くんの目の色、クレアさんの目の色よりも濃い碧色をしていないかしら?」

「そう? じっと見つめたことはないから」

「絶対、クレアさんの目の色より濃い色だわ。ママ。詩月くん、宗月さんが本当にお父さんなのかしら?」

小百合は客間の棚に飾られた写真を覗きこんだ。

リリィと詩月の映っている写真の中の詩月は、現在よりも幼く見えた。