「庭の千草」狂詩曲

「あら、ずいぶん本音を言えるようになったじゃない」

「ーー演奏が終わるまで静かにしていてくれないか」

理久は詩月の初めてみる姿に、ウソだろと口が開いたままだった。

リリィの孫娘、小百合は理久が初めて会った時、詩月の追っかけをしていた。

その小百合と詩月がこんな仲なっていたのかと思った。

「小百合、帰ってくるなり何なの」

息子嫁、鈴子が珈琲と紅茶、自家製の焼菓子をトレーに乗せて、客間に入ってきた。

「ごめんなさいね」

すまなさそうな笑顔で、お茶と焼菓子をよそった。

詩月が気を取り直して「懐かしい土地の思い出」を演奏し始めたが、小百合に声をかけられる前の演奏とはまるで違っていた。

理久が「おいおい、いいのか? そんなに感情を明け透けの演奏をして」と思うほど、激しく感情任せの演奏だった。

哀愁漂う調べは、詩月がリリィの葬儀の翌日に弾いた演奏よりも物悲しかった。