「庭の千草」狂詩曲

墓地での演奏は、リリィにありったけの思いを吐露し、語りかけているようだった。

だが、今弾いている「懐かしい土地の思い出」には凛とし気丈であろうとする強い意志を感じさせた。

「ママ。詩月くん、来てるの? この演奏は詩月くんでしょ!?」

玄関から甲高い女性の声が響き、バタバタと若い女性が慌ただしく客間に入ってきた。

リリィの孫娘の小百合だ。

「やっぱり、詩月くん」

言いながら、遠慮なしにソファーに座った。

「んーー何だか、気持ちを圧し殺したような演奏ね。もっと感情を吐き出せばいいのに」

詩月が小百合の言葉に、ピタリと手を止めた。

「……君は相変わらず無遠慮だな。感情任せに弾いたら、言いたくないことや思い出したくないことまで溢れて、演奏が乱れるから、抑えて弾いていたのに」

詩月はクルリと向き直って、小百合に言った。