「庭の千草」狂詩曲

「詩月、ちょっと……ちょっと待て。頭が追いつかない」

理久は詩月の様子が妙だったのは、このせいかと思った。

思ったが、理久自身も混乱していた。

理久には初耳だった。

宗月がA型だということは、母親がA型だから想像できた。

クレアがB型かAB型だと思っていた。

「あ……」

理久はハッとし、長風呂になると詩月の負担になると思い、詩月の背中を流してやった。

風呂の操作画面に表示された時計で入浴時間を確認しながら、風呂から上がった。

「詩月。この話はちゃんと確かめて、親父とおふくろに話してもらうようにする。時間をもらえるか?」

「わかった」

理久は詩月が静かに頷いた顔が、明らかに沈んでいるのを感じた。

急に日本へ帰ってきたのは、手続きや検査のためではなく、自分自身の出自を確認するためだったのかと、察した。

詩月がどれほど衝撃を受けたかと思うと、慰める言葉がなかった。