「庭の千草」狂詩曲

「手術は無事に終わりました。命に別状はありません。後遺症などについては、今は何とも言えない状況です。経過を観てとしか」

「あの指は……ピアノは演奏できますか」

宗月にとっては、ピアニストとしての最優先事項だ。

ユリウスは宗月の乗せたストレッチャーが運ばれていくのを見つめて、執刀医に答えを迫った。

「頭部から肩にかけての負傷が、どう影響するのか。足の骨折と裂傷は障害が残るほどではありませんでした。内臓や手の骨折、指の神経断裂もありませんでしたが、ピアノ演奏……今はわかりません」

クレアは毅然として、執刀医の答えを聞いていた。

ユリウスは煮え切らない答えに苛立ちながらも、取りあえず頷き、礼を述べた。

クレアは宗月を乗せたストレッチャーと看護師を追って、ICU室に向かった。

詩月はユリウスとマルグリットが処置室に、手術が終わったことを伝えに行くと、ベッドを傾け起き上がっていた。