「庭の千草」狂詩曲

「クレア。思い切り自分の演奏をしなさい。指を大切にしなさい。体を大切にね。疲れたら、無理せずにね。辛いときは我慢せずに泣きたいだけ泣きなさい。雨の日も曇った日も晴れた日もあるだろうけれど、あなたらしく歩いていきなさい。クレアへ愛をこめて」

クレアへの愛に溢れた、暖かい手紙だと思った。

クレアに見せてもらい読みながら、俺もクレアの隣で涙が止まらなかった。

お婆さんを見送った1週間後。

今度はホスピスから、クレアに連絡が来た。

ダフィット教授の容態が急変したとの知らせだった。

夜半、突然の知らせにクレアは動揺し、涙声で俺に連絡してきた。

俺はクレアを車で迎えに走り、クレアを乗せてホスピスに駆けつけた。

「先生。わたし、まだデビューしたばかりなのに」

教授は応えない。

「もっと先生に演奏を聴いてほしいの。ねえ、先生。わたしの側に居てよ。もっと教えてよ、先生」