「サランヘヨ《愛してる》」
さっそく教えて貰った韓国語を大声で連呼する俺は、
ぺ・ヨンジュンならぬリ・ヨウチンになっている。
後部座席に座っていたナカシーが「キモイセヨ」と韓国語っぽいこと言って茶化すから、
少しの間だけセヨを語尾につけるのが流行した。
語尾にセヨを付けるのが暗黙の了解みたいになっているから、
それをぶっ壊したくなって、
俺だけ語尾にポヨを付けて対抗してみせる。
だけど、
韓国語とは感じさせない語尾は流行る気配をみせない。
誰一人として使わないから目の敵にされ、
集中砲火を浴びせられる始末。
決してポヨの使い方に悪意はないが、
言い方に悪意があった。
ゆっくりとした口調で最後をしっかり伸ばす。
ここがポイント。
あざと可愛くなった感じが鼻につく。
ヤギちゃんがしつこく茶化してくるから、
ラップバトルに発展しちゃってる。
セヨを織り交ぜながら、
上手いこと韻を踏んでくるヤギちゃんは、
ラップが初めてだとは思わせない。
それに比べて、
俺は小学生レベルで笑っちゃう。
「イェイ、イェイ、イェッ、|イェッポヨ、ヤギちゃんウルサイポヨォ〜〜」
ね?
センスがないでしょ?
みんなの前で無様なラップを披露して、
微妙な空気にしたのはごめんなさい。
でも、
「出口はあちらです。気をつけてお帰り下さい」じゃないのよ、
ナカシー。
あまりにも酷すぎるからって雑に扱わないでくれ。
ポヨの前につける言葉なんて、
その場のノリと今のテンション感で思いついただけ。
それが、
あまりにも違う方へいくなんて思ってもみなかった。


