イヤホンから流れているのくるのは、
聞き馴染みのない曲調、
そして、
日本人らしからぬ歌い回しに、
独特な音の上げ下げ。
おそらくKーPOPだろう。
俺がリズムをとりながら、
鶏みたいに前後ろと首を動かすから、
くうちゃんはクスッと笑っていた。
いやらしいほど白い肌で、
黒くて透き通った綺麗な長い髪。
俺は横目で下から迷路のように辿っていくと、
行き着いた先は大きく膨らんだ胸許だった。
谷間から覗く富士が絶景すぎて、
日本百名山に登録してもいいぐらい。気づけば、
ゲロではなくて、
鼻血を垂らしていた。
自分の気持ち悪さに目が覚めた俺は、
胃の中の気持ち悪さなんて疾うに忘れていて、
「これ、誰の曲?」と興味もないのに、
何故か聞いている。
当然、
名前を言われたって知らないわけだし、
覚える気も更々ない。
だけど仲良くなれないのは、
この先勿体無い気がして、
投資なつもりで積極的にくうちゃんのことを知ろうとした。
調査結果、
くうちゃんについて分かったことをまとめてみた。
KーPOPが好きで、
韓国語を勉強しているらしい。
卒業したら、
韓国人と結婚して、
韓国に住むのが夢なんだとか。
くうちゃんは超が付くほどの韓国オタク、
略して韓オタだった。
夢中になれるものがあるって素晴らしいことだよね。
韓国人は歌も上手いし、
美男美女が多いイメージ。
俺なんて鼻声で砂糖顔だし、
勝てるところなんて一つも思い浮かばない。
こんな俺に対して、
お世辞でもないこと言って、
優しく韓国語を教えてくれるくうちゃんは本当に良い子だった。


