人生クレイジー



太陽が嘲笑う。


独特なカビのような匂いが生温い暖気と一緒にすべり落ちるから、

車酔いした俺は気持ち悪さが増すだけ。


いっそのこと胃の中を綺麗さっぱりと、

空っぽにしてしまいたい。


一泊二日のレクリエーションがある今日、

清流が綺麗だと噂レベルで聞いた山奥、

それももっと山奥に向かって、

俺たちは大型バスに揺られながらレジャー施設へと向かっている。


吐き気に耐えきれず、

俺は少しだけ窓を開け、

呼吸をするため氷の穴から顔を出すアザラシのように、

バスの湿気た空気を嫌がった。


これじゃあ、

バスの中でゲロを出してしまい、

あだ名がゲロちんに変わってしまうじゃないか。


隣の席に座るB班の中でも、

まだ仲良くなりきれたい方に部類される、

くうちゃんが気まずそうにこちらを見つめていた。



「くうちゃんは何を聴いてんの?」



「え?たぶん、りょうちんは知らないよ」



イヤホンを右耳にだけ差して、

その片方を垂れ流したくうちゃんは音楽を聴きながら言った。


たぶん、

まともに話すのは初めてな気がする。


恥ずかしそうにするくうちゃんに目もくれず、

胸元に垂らした片方のイヤホンを拾い上げ、

俺は左耳へと差し込んだ。


なんかカップルっぽくて、変な感じ。


あんまりこういうの慣れてないくうちゃんは、

紅生姜ぐらい頬を紅く染めている。