「マチコ、実はさぁ……」
「言わなくていい。知ってるから!」
え?知ってる?
やっぱり、
大学デビューしてるの気づいてたんだ。
「なんだ、気づいてたのか……」
「ああ、言いにくかったよな?ずっと悩んでたんだろ?」
「え?まぁ……」
「心配すんなッ!俺はそんなんでりょうちんのこと嫌いになんてなんないから」
まさかの言葉に涙が出そうになった。
嫌われる予定でいたのに、
想像もしていなかった展開に俺は今、
とてつもなく驚いている。
「え!それ、ホントに言ってる?」
「ああ、俺はりょうちんの友達だからさ」
「マチコ……やっぱりお前、いい奴だなッ!」
俺は知った。
マチコはどこにでも居るヤンキーではない。
人情深く、思い遣りのある優しいヤンキーなんだと。
「ふっ、だから、他の奴には言わなくたっていいから!俺たちだけの秘密にしとけ」
「えっ!何で?」
「そりゃあ、他の奴が俺みたいな奴とは限んねえだろッ!」
マチコの正論に俺は叩き起こされた気分だった。
確かにマチコが言った通りで、
俺を受け入れてくれる人は極わずかだろう。
調子に乗るなって思う人や大学デビューとかダサって思う人の方が多いかもしれない。
俺はマチコの言葉を鵜呑みにした。
「そ、そう……だよな」
「心配すんな、どんな事があろうと俺はりょうちんの味方だから」
「マチコ……ありがとう。俺……マチコのそういう所好きだわ」
「いや!好きにはなるなッ!!友達でいろ」
好きというワードにビクッとするマチコは、
挙動不審な態度を取っている。
「うん?それはそうだけど……急にどうした?」
「いや、その……俺とお前はずっと友達の関係で居ようってことだよ」
マチコがソワソワしながら、
俺にそう言った。
本当は口下手で、
こんなこと言うのは慣れていないんだろうな。
俺のこと受け入れてくれて、
本当の友達になろうとしてくれているんだ。
だから、
マチコが言ってくれた言葉に、
俺は胸がいっぱいで、
マチコという大切な友達を大事にしようと思えた。
「そんなの当たり前じゃん!じゃあ、俺は今まで通り、マチコたちと居てもいいのかな?」
「ふっ、いいに決まってんじゃん!講義始まるし、早く行こうぜ!」
俺のことを急かすように、
マチコは俺の肩を押してくれた。
勘違いしていることなんて知らない俺たちは、
今まで通りに過ごすだけ。
大学デビューと男好き、
そんなこと打ち明けなくたっていい、
俺たちはこれからもこのスタイルを続けていくだけであって、
友情は何も変わらない。


