「キャーッ!」
ど、どうしたのっ……!
クラスメイトのあげた悲鳴で、人が倒れたことに気がついた。
誰っ……は、ハルトっ……!
「みんな心配だろうが、天樹は先生が連れて行くから、練習してなさい」
先生が、気を失ったようなハルトを抱えて保健室へ連れて行く。
倒れた原因に ふっと思い当たり、先生の背を追った。
「先生……あの、天樹くんが倒れたの、急いでて朝ご飯食べてないからかもしれません……!」
そう言うと、先生は少し頷いて、再び“練習してなさい”と言った。
大丈夫かな、大丈夫かな……っ。
練習なんて手につかない……そんな様子の私のそばに居た男子。
笑いながら、鉄棒に寄りかかって話をしている。
「そーいえばなんか、天樹って、その辺の女子より可愛いよなー」
突拍子もない話だったけど、心のなかで、すっごく賛同した。
「可愛さで言ったらもう、“姫”って感じ!」
ほんとにそうだ……。
「そーいや、光堂って天樹の幼馴染だよな。天樹は姫なら、光堂は女王だよなー」
へっ……?
「天樹より可愛くないし、吊り目で横暴っぽくて怖いし、ぴったりって感じ!」
「うぅ……っ……」
ニヤニヤと笑う彼らが少し怖くて、でもハルトを姫って言うような人が変なわけない、
おかしいのは自分かもって気持ちもあって……。
鉄棒 三つ分ほど横にずれて、気にしていないふうに装って鉄棒を掴んだ。
気にしてない、気にならない……自分で暗示をかけるようにそう思い込み、深呼吸をする。
「姫と女王……いいじゃん、決定!」
頑張って練習をしようとしても、
ニヤついたような声ばかりが頭に入ってきてはこびりつき、鉄棒から手を離した。
ただひたすら授業の終わりを願い、それが叶う頃に保健室へ駆け出した。
「はー……僕、超ダサい」
は、ると……?
いつも可愛く元気なハルトが……どうしたんだろう。
言霊って、ほんとにあるのに……ハルトが、かっこ悪くなっちゃうよっ……!
ダサくなんてない、そう言おうと思ってドアに飛びついたけど。
「言霊って、あるんだったな……気をつけよ」
ハルトのその言葉に、昔そう言ったっけ……と思い返す。
おばあちゃんに聞いて、色んな人に自慢っぽく話してた。
そんなこと、覚えてたんだ……ちょっとびっくりだなっ……。
でも、優しくて、ハルトっぽくって、可愛い。
そう思うと、彼らの声が頭の中で木霊のように繰り返されはじめる。
「ハルトが お姫様で、……私が、女王」
悲しみが涙となって、目から溢れ出した。
「っく……ひぅっ……」
堪えきれなかった小さな声。
それがおさまる頃には少し声が枯れていたけど、構わず保健室の扉をそぅっと開く。
「は、ハルトっ……だ、大丈夫?」
普段よりも少しぼーっとしたようなハルトに、慌てて声をかけた。
「っ……ゆ、う……うん、元気だよっ!」
取り繕ったように聞こえるその声に、心配さがつのる。
ど、どうしたのっ……!
クラスメイトのあげた悲鳴で、人が倒れたことに気がついた。
誰っ……は、ハルトっ……!
「みんな心配だろうが、天樹は先生が連れて行くから、練習してなさい」
先生が、気を失ったようなハルトを抱えて保健室へ連れて行く。
倒れた原因に ふっと思い当たり、先生の背を追った。
「先生……あの、天樹くんが倒れたの、急いでて朝ご飯食べてないからかもしれません……!」
そう言うと、先生は少し頷いて、再び“練習してなさい”と言った。
大丈夫かな、大丈夫かな……っ。
練習なんて手につかない……そんな様子の私のそばに居た男子。
笑いながら、鉄棒に寄りかかって話をしている。
「そーいえばなんか、天樹って、その辺の女子より可愛いよなー」
突拍子もない話だったけど、心のなかで、すっごく賛同した。
「可愛さで言ったらもう、“姫”って感じ!」
ほんとにそうだ……。
「そーいや、光堂って天樹の幼馴染だよな。天樹は姫なら、光堂は女王だよなー」
へっ……?
「天樹より可愛くないし、吊り目で横暴っぽくて怖いし、ぴったりって感じ!」
「うぅ……っ……」
ニヤニヤと笑う彼らが少し怖くて、でもハルトを姫って言うような人が変なわけない、
おかしいのは自分かもって気持ちもあって……。
鉄棒 三つ分ほど横にずれて、気にしていないふうに装って鉄棒を掴んだ。
気にしてない、気にならない……自分で暗示をかけるようにそう思い込み、深呼吸をする。
「姫と女王……いいじゃん、決定!」
頑張って練習をしようとしても、
ニヤついたような声ばかりが頭に入ってきてはこびりつき、鉄棒から手を離した。
ただひたすら授業の終わりを願い、それが叶う頃に保健室へ駆け出した。
「はー……僕、超ダサい」
は、ると……?
いつも可愛く元気なハルトが……どうしたんだろう。
言霊って、ほんとにあるのに……ハルトが、かっこ悪くなっちゃうよっ……!
ダサくなんてない、そう言おうと思ってドアに飛びついたけど。
「言霊って、あるんだったな……気をつけよ」
ハルトのその言葉に、昔そう言ったっけ……と思い返す。
おばあちゃんに聞いて、色んな人に自慢っぽく話してた。
そんなこと、覚えてたんだ……ちょっとびっくりだなっ……。
でも、優しくて、ハルトっぽくって、可愛い。
そう思うと、彼らの声が頭の中で木霊のように繰り返されはじめる。
「ハルトが お姫様で、……私が、女王」
悲しみが涙となって、目から溢れ出した。
「っく……ひぅっ……」
堪えきれなかった小さな声。
それがおさまる頃には少し声が枯れていたけど、構わず保健室の扉をそぅっと開く。
「は、ハルトっ……だ、大丈夫?」
普段よりも少しぼーっとしたようなハルトに、慌てて声をかけた。
「っ……ゆ、う……うん、元気だよっ!」
取り繕ったように聞こえるその声に、心配さがつのる。



