「ありがとう……希」
そして、彼の唇が、私の唇に触れた。
優しく、温かく。
冬の夜だというのに、全身が温もりに包まれた。
キスが終わると、篠塚さんが私の額に自分の額をこつんと合わせた。
それから私たちは、しばらく抱き合っていた。
「あ……」
ふと、空を見上げると、星が流れた。
「流れ星……」
「希さん、願い事を」
私は目を閉じて、心の中で願う。
『この人と、ずっと一緒にいられますように』
目を開けると、篠塚さんも私を見ていた。
「何を願ったんですか?」
「秘密です」
「ふふ。僕もです」
私たちは、顔を見合わせて笑った。
きっと、同じことを願ったんだろうな。
「泣かないでください」
篠塚さんが、優しく涙を拭ってくれる。
「嬉しくて……」
「僕も、嬉しいです」
篠塚さんが、私の手を取った。
「さあ、帰りましょう。恋人として」
「はい」
私たちは、手を繋いで歩き始める。
新しい関係の、第一歩。
図書館の前を通り過ぎる。
あの日、スマホを落とした場所。
午後2時20分から3時05分までの、たった45分間の出来事が、私の運命を変えた。
そして今、新しい日々が始まろうとしている。



