シンプルな言葉だけれど、その言葉にはこれまでのすべてが込められていた。
「ひび割れたスマホを拾った時から。カフェで話した時から。映画館で手を繋いだ時から。一緒に資料を整理した、あの夜から」
篠塚さんの目に、涙が光った。
「どんどん、希さんのことが好きになっていきました」
私の視界が、滲んでいく。
「努力家で誠実だけど、不器用な面もあって……」
篠塚さんが、私の頬に手を添えた。
「そんな希さんの、すべてが愛おしいんです」
涙が、止まらなかった。
「僕と……恋人として、付き合ってください」
その言葉を、どれだけ待っていただろう。
「私も……」
声が掠れる。
「私も、ずっと前から、あなたが好きでした」
篠塚さんの目が、大きく見開かれた。
「本当に?」
「はい」
私は、彼の胸に顔を埋めた。
「あなたに会えて、私の人生が変わりました。一人で頑張りすぎなくていいって、教えてくれた」
篠塚さんが、私を強く抱きしめる。
「不完全な私を、そのまま受け入れてくれた。『それでいいんだ』って、肯定してくれた」
「希さん……」
「だから……」
私は顔を上げて、篠塚さんを見つめた。
「あなたと一緒にいたい。これからも、ずっと」
篠塚さんの表情が、花が咲くようにほころんだ。



