翌日から、作業はさらに加速した。徹夜することもあったけれど、誰も弱音を吐かなかった。
そして、金曜日の午後。
篠塚さんから武男さんが退院すると聞いた私は、病院に駆けつけた。
「武男さん!」
病室に入ると、武男さんが柔らかく笑って迎えてくれた。
「おお、藤崎さん。心配かけて悪かったね」
「お体のほうは、大丈夫ですか?」
「ああ、もうすっかり元気だよ。医者からは、もっと休めって言われているけどね」
武男さんが苦笑した。
「でも、店やプロジェクトのことが心配で……」
「大丈夫です」
私は力強く言った。
「サイトは順調に進んでいます。予定通り、来週早々には完成します」
「本当かい?」
「はい。チームのみんなが、全力で頑張ってくれています」
武男さんの目が、じわりと潤んできた。
「そうか……本当に、ありがたいことだ」
「武男さんの60年間を、絶対に無駄にはしません」
武男さんが、深く頷いた。
「藤崎さん、あなたは強い人だね」
「いえ……私は、弱いです」
私は正直に答えた。
「一人じゃ、何もできない。でも、支えてくれる人がいるから頑張れるんです」
篠塚さんが、私の肩に手を置いた。
「僕も、いつも藤崎さんに支えられています」
武男さんが、私たちを見て目を細めた。
「いいコンビだね、君たち」
その言葉に、私たちは視線を合わせて笑った。



