「もしもし、藤崎です」
「藤崎さん……」
篠塚さんの声が、疲れ切っていた。
「武男さんは、大丈夫ですか?」
「はい。今は病院で休んでいます。医師からは、ストレスと疲労による一時的なものだと」
「良かった……」
「でも、もう限界かもしれません。祖父も、『店を畳む』と言い始めて……」
「ダメです!」
私は、思わず大きな声を出していた。周りの人々が、驚いて振り返る。
「ダメです、篠塚さん。今諦めたら、全部終わってしまいます」
「ですが……」
「絶対に、成功させます。武男さんのために、篠塚さんのために。そして……私自身のためにも」
電話の向こうで、篠塚さんが息を呑む音がした。
「藤崎さん……」
「チームで、何とかします。必ず、完成させますので」
「……お願いできますか?」
「はい。だから、篠塚さんは武男さんのそばにいてあげてください」
しばらくの沈黙の後、篠塚さんが言った。
「本当に、感謝しています」
電話を切って、私は深呼吸をした。
「みんな、ちょっと良い?」
私の呼びかけに、田辺さん、佐藤さん、山崎さん、沙紀が集まってくる。
「パティスリー・ルミエールが、緊急事態なんです。店主の武男さんが倒れられて……だけど、予定通りサイトを完成させたい」
私は、状況を説明した。
「厳しいスケジュールですね……」
田辺さんが眉をひそめる。



