カフェを出ると、冷たい風が吹いていた。
「……っ」
思わず身を縮める私を見て、篠塚さんが立ち止まった。
「寒いですか?」
「少しだけ」
篠塚さんが、自分のマフラーを外そうとする。
「大丈夫です。篠塚さんに悪いですから」
「ですが……」
困ったような表情になる、篠塚さん。そして、彼は私の手を取った。
「それじゃあ……せめて、手だけでも温めさせてください」
篠塚さんが、両手で包み込むように私の手を温めてくれる。
「……温かい」
「藤崎さんの手、冷たいんです。いつも」
「気づいてたんですか?」
「はい、ずっと。会議の時も、資料を渡す時も」
ずっと、見ていてくれたんだ。
私は、胸が熱くなった。
それから私たちは、手を繋いだまま駅まで歩いた。
寒い夜だったけれど、心はポカポカと温かかった。



