不完全な私を愛してくれたのは、年上の彼でした



彼の手が、ゆっくりと私の手を包み込む。

私も、彼の温もりを確かめるように、そっと握り返した。

温かい……。

繋いだ手から、彼の脈が伝わってくる。速く、不規則に。

私と同じだ。篠塚さんも、緊張しているんだ。

その事実が、嬉しくて。私は、そっと親指で彼の手の甲を撫でた。

篠塚さんの手が、ぎゅっと強く握り返してくる。

スクリーンの光の中、二人だけの秘密の会話。


スクリーンには、エレーヌが走り去る場面が。不完全で、破綻していく恋。でも、だからこそ美しい。

そしていよいよ、映画のクライマックス。エレーヌが、愛する男を置いて一人、船で遠い国へと旅立つ場面。

私の目には、涙がにじんだ。

完璧じゃない人生、完璧じゃない愛。だからこそ、心を動かされる。

エンドロールが流れる中、私たちは手を繋いだまま、静かに座っていた。



映画館を出ると、外は夕暮れが近づいていた。

「どうでしたか?」

「すごく……心を動かされました。完璧じゃない恋だから、こんなにリアルで美しいんですね」

篠塚さんの表情が、ぱっと明るくなった。

「藤崎さんも、そう感じてくれましたか」

「はい。不完全だからこそ、人間らしい。傷つくからこそ、愛おしいんだなと」

私たちは自然と歩き始めた。手は、まだ繋いだまま。

繋いだ手の温もりが、伝わってくる。篠塚さんの手は、思ったより大きくて、少しだけ硬い。お菓子を作る優しい手。

「藤崎さん、あの……」

篠塚さんが立ち止まった。