不完全な私を愛してくれたのは、年上の彼でした



土曜日の朝。私は、クローゼットの前で悩んでいた。

何を着ていこう。

そもそもこれは、デート……なのかな? 仕事の延長? それとも……。

最終的に選んだのは、ワインレッドのニットに、黒のスカート。普段はあまり着ない色だけれど、新しい自分を表現したかった。

鏡の前で、何度も確認する。メイクも、いつもより丁寧に。でも、濃すぎないように。

「これで、いいかな」

深呼吸をして、私は家を出た。



午後1時。渋谷のシネマ・リュミエールの前で、篠塚さんが待っていた。

チャコールグレーのウールコートに、クリーム色のカシミアセーター。

シンプルだけど上質な装いの篠塚さんは、いつも以上に素敵に見えた。

「お待たせしました」

「いえ、僕も今来たところです」

篠塚さんが、爽やかに微笑む。

「藤崎さん。その色、よく似合っていますね」

「あ、ありがとうございます」

頬が、一気に熱くなる。

「それじゃあ、入りましょうか」