「祖父の店、経営が厳しいんです。このままだと、来年の春には……閉店せざるを得ないかもしれない」
胸に、冷たい何かが走った。
「それは……」
「売上は年々減少していて。近くに大型チェーン店もできて、お客さんも減ってしまって」
篠塚さんの声が震えている。
「Webサイトのリニューアルは、最後の賭けなんです。これがうまくいかなければ……祖父が60年かけて守ってきた店が、消えてしまう」
その言葉に、私の手が震えた。
「祖母が亡くなった時、祖父は店を畳もうとした。でも、祖母の遺言があったのと、僕が『続けてほしい』って頼んだんです。だから、もし失敗したら……」
篠塚さんが唇を噛む。
「僕のせいで、店が潰れる」
「篠塚さん……」
私は、彼の手を取る。
「絶対に、成功させましょう。私も、チームのみんなも、全力で取り組みます」
篠塚さんが視線を上げた。その目には、涙が光っている。
「藤崎さん……ありがとうございます」
私たちは、強く手を握り合った。
しばらくして、篠塚さんが少し表情を和らげた。
「すみません。重い話をしてしまって」
「いえ。教えてくれて、ありがとうございます」
「藤崎さん」
篠塚さんが、恥ずかしそうに視線を逸らした。
「今週末……もし良ければ、映画を観に行きませんか?」
突然の言葉に、私の鼓動が跳ねる。



