スマホの画面を見る。SNSのフォロワーは2,000人。今朝投稿した「手作りサンドイッチ」の写真には、200以上のいいねがついていた。

でも、実はあれは手作りではなく、コンビニで買ったハムサンド。完璧な私を演じるための、小さな嘘。

バッグの中で、一枚の便箋がかさりと音を立てた。

篠塚さんから届いた、手書きのメモ。万年筆で丁寧に書かれた、美しい文字。

『効率的な注文システムより、お店の人の心が伝わるサイトにしたいのです。
デジタル時代だからこそ、アナログな心を大切にしたいと考えています』

効率より心? それは、私がこれまで学んできたWebデザインの常識とは真逆の考え方だった。

でも、なぜか胸の奥で共鳴する何かがあった。

時計を見ると、午後1時30分。

「図書館に行こう」

資料を見直して、何か答えを見つけなければ。

このプロジェクトは、絶対に失敗できない。