翌日の木曜日、午後2時。
私はパティスリー・ルミエールの前に立っていた。大きく息を吸って、ドアを開ける。
カランカラン。
「こんにちは」
「いらっしゃい、藤崎さん。待っていたよ」
武男さんが笑顔で迎えてくれた。篠塚さんも、店の奥から出てくる。
「それでは、さっそく見せていただけますか?」
「はい」
いよいよだ……。私はノートパソコンを開いて、新しい提案を見せた。
最初のスライド。
『パティスリー・ルミエール Webサイトリニューアル提案
〜60年の想いを、未来へ〜』
篠塚さんと武男さんが、画面を見つめる。
私は彼らに、一つ一つ説明していった。
トップページのコンセプト。商品ページのデザイン。店主の物語のページ。
武男さんは、じっと画面を見つめていた。
篠塚さんも終始、真剣な表情。
プレゼンテーションが終わると、沈黙が流れた。
長い、長い沈黙。
どう、思われたかな? もし、ダメだったら……。
手には汗が滲み、胸が締めつけられるように痛い。
「これは……」
武男さんが、ゆっくりと口を開いた。



