不完全な私を愛してくれたのは、年上の彼でした



「藤崎さん、君……これ、本気か?」

「はい」

「UI/UXの基本からは、少し外れているな。本当にこれで、顧客の心を掴めるのか?」

「わかっています。ですが、これが私の答えです。武男さんのお店のためには、『効率的なサイト』じゃなく、『想いが伝わるサイト』が必要なんです」

部長は、もう一度提案書を見た。

「面白いな。型破りだけど、確かに『らしさ』がある。このサイトを見たら、店に行ってみたくなる」

部長が微笑んだ。

「いいだろう。このまま、クライアントにぶつけてみろ」

「本当ですか!?」

「ああ。ただし……却下されたら、ちゃんと責任を取れよ」

「はい!」

私は深く頭を下げた。



その日の午後、私は篠塚さんに電話をかけた。

「新しい提案ができました。明日、お時間いただけますか?」

「もちろんです。何時がいいですか?」

「午後2時頃、お店に伺ってもよろしいでしょうか」

「はい、お待ちしています」

電話を切って、私は深呼吸した。

「明日が、勝負だ」