不完全な私を愛してくれたのは、年上の彼でした



『私が作りたいサイト

・武男さんの笑顔が見えるサイト
・60年の歴史が感じられるサイト
・訪れた人が、あたたかい気持ちになれるサイト

整っていなくてもいい。
少しくらい不揃いでもいい。

大切なのは、「心」が伝わること』

手が、勝手に動いていく。アイデアが、次々と浮かんでくる。

トップページには、武男さんの手が生地をこねる動画を。

商品ページには、少し不揃いなタルトの写真を。でも、その横に武男さんの想いを綴った文章を添える。

そして「店主の物語」のページには、古い写真とともに、60年の歴史を語る。

「これだ……!」

私は、確信した。これが、私の答えだ。



水曜日の朝。私は新しい提案書を持って、鈴木部長のところに行った。

「部長、パティスリー・ルミエールの新提案ができました」

「おお、見せてくれ」

部長が提案書に目を通す。

しばらくの沈黙。鼓動が速まる。