「藤崎さんと、こうして仕事以外でお話しできて、実は嬉しいんです」

その言葉に、私の頬が熱くなった。

「仕事のメールだと、どうしても堅苦しくなってしまうから。藤崎さんがどんな方なのか、もっと知りたいと思っていたんです」

「私も……篠塚さんの手書きのメモ、すごく印象的で。どんな方なんだろうって、気になっていました」

「本当ですか?」

篠塚さんは目を輝かせて、ポケットから万年筆を取り出した。

「これ、祖父から譲り受けたものなんです。祖父は、『手で書くことは、心を伝えることだ』って言っていました。だから僕も、大切なことは手書きで伝えるようにしているんです」

その話に、私の胸が熱くなった。

「私、最近……デジタルに疲れていて」

本音が漏れた。

「毎日、パソコンとスマホの画面ばかり見て。リモート会議で話しても、誰とも本当には繋がっていない気がして」

篠塚さんは静かに頷いた。

「実は、僕も似たような経験があるんです」

「え?」