「どうしてわかったの?」

「咲茉の様子がいつもと違うことくらい見てたらわかる」

わたしってそんなにわかりやすいのかな?

「実は夕食前に応募してたコンテストの結果発表あったんだ。今までで一番自信があったんだけど、今回もだめだった」

大賞から最終選考まで何度もスマホの画面をスクロールして見返したけれど、わたしの名前はなかった。

「いつもより自信があったからそのぶんショックも大きくて⋯⋯。でも、落ち込んでばかりじゃだめだよね」

奏人に心配をかけないようにできるだけ明るいトーンで話す。

きれいな星空の下にいるんだから、暗い雰囲気にはしたくない。

「別に落ち込んでもいいんじゃねぇの? 落ち込むのは咲茉が真剣に小説と向き合ったからだろ」

「奏人⋯⋯」

「それに賞が取れなかったからって咲茉の小説がだめな作品になるわけじゃない。場所やタイミングによって評価が変わることだってあるだろ」

「場所やタイミング?」

「例えば俺たちだったらライブでは盛り上がるのに動画の再生回数が伸びないなんてことはよくあって、逆に再生回数はいいのにライブでは盛り上がらないこともある。他にもいい曲が書けたと思ってライブで歌ったら観客の反応はいまいちだったとか」


「MEBIUSが?」