「律とはこれ以上に近かっただろう」
わたしと律が? いつ⋯⋯。
もしかして、行きの車内でのことを言ってるのかな。
「あれは律がわたしを枕にしてただけで」
「律はいいのに俺はだめなの?」
奏人はわたしの目をじっと見つめて返事を待つ。
「だ、だめじゃないけど⋯⋯」
「それならいいじゃん」
よくないよ。言葉では上手く説明できないけど、律のときとは違う。
心臓が今にも破裂しそうだ。
これじゃあ星を見るどころじゃなくなっちゃうよ。
「久々に咲茉とふたりで話した気がする」
「なかなかタイミングが合わなかったもんね」
思い返すと今回の合宿では律とばかり一緒にいた気がする。
「ただ合わなかったというよりも、あいつが咲茉を独占してたのが一番の理由だけど」
奏人が何かつぶやいたけれど、風に揺れた木々の音で前半部分がかき消された。
「ごめん、一番の理由ってところしか聞き取れなかった」
「⋯⋯お互い忙しかったなって話。それよりも夕食のとき元気がなかったけど何かあったのか?」
「へっ⋯⋯?」
「バーベキュー楽しみにしてるって言ってたのに、心ここにあらずって感じだったから」
みんなとのバーベキューはすごく楽しくて、いつもどおりの自分でいられた。
そう思っていたから奏人の言葉に驚いた。



