わたしもキッチンのある一階へ降りようとドアノブに触れたとき、机に置いてあったスマホが震えた。
「なんだろう?」
スマホの画面には見慣れたアプリからの通知が一通。
フォローしている編集部がSNSを更新した通知だった。
【第五回 恋愛ときめきコンテスト 結果発表!】
目に飛び込んできた文字に心臓がドクンと脈打つ。
恋愛ときめきコンテストは、わたしが投稿している小説サイトで定期的に開催されている短編小説コンテストだ。
第一回から欠かさず参加を続けているけれど、結果を残せたことは一度もない。
だけど、今回エントリーしたのはMEBIUSと出会ったあとに書いた小説。
選外続きで自分の書きたいものを見失いかけていた頃とは違う。
わたしの好きを信じて書き上げた渾身の一作だ。
深呼吸をしてから、震える手で通知をタップする。
SNSから小説サイトへ飛ぶと、受賞作品が掲載されていた。
「大賞──、」



