夕食のあとは楽しみにしていた花火の時間。

手持ちのものから数メートル上空で打ち上がるものまで様々な種類の花火を楽しんだ。

そして、最後は新の提案であと片付けを賭けた線香花火レースをすることになったわたしたち。



「最初に火種が落ちたふたりがあと片付けな!」

千里先輩がひとり一本ずつ線香花火を配ってくれて、一斉に火をつける。

パチパチと弾ける橙色の火花の音に全員が耳を傾けた。

「あっ」

まず最初に火種を落としたのは律。

「あ、落ちちゃった」

その次はわたし。

「片付け係は律と咲茉に決定だな!」

そう言って余裕そうにしていた新の火種が地面にぽとり。

新に続いて海音ちゃん、奏人、千里先輩が順に火種を落とした。


「一位おめでとうございます。千里先輩」

「ありがとう咲茉ちゃん。本当に片付けを任せてもいいの?」

「はい。最初に決めたことなんで。先輩たちは先に戻っててください」

「ありがとう」

部屋へと戻っていく四人に手を振っていると、奏人が途中で足を止めて引き返してきた。

何か忘れ物かな?

「どうかしたの?」

「やっぱり俺も手伝う」

奏人はそう言うと水の入ったバケツを手に取った。