「好き」があふれて止まらない!



***


「⋯⋯ま、咲茉! 着いたわよ」

「んんっ⋯⋯」

近くで海音ちゃんの声がして重いまぶたを開けると、窓の外は緑に囲まれていた。

遠くからは小鳥のさえずりが聞こえてくる。

どうやらわたしはいつの間にか律と一緒に眠ってしまっていたみたいだ。

「律、起きて。到着したみたい」

「んー」

わたしは約束どおり隣で眠っていた律を起こした。

「ふたりとも車に乗って数分で寝てたわよ。あんなうるさい中、よく眠っていられたわね」

「昨日、ワクワクして眠れなかったから。うるさかった? 全然わからなかった」

「新くんがずっと喋ってたの」

車内で楽しそうにしている新の姿は見ていないのに容易に想像ができた。

先に別荘に着いていた山吹さんに挨拶をしたあと、MEBIUSの四人と練習風景の撮影係を任された海音ちゃんは防音室へ。

わたしは部屋でコンテストに向けての小説を書き進めた。

わたしたちが再び全員集合したのは夕方を過ぎた頃。

料理が得意な千里先輩に教えてもらいながらみんなで夕食のカレー作り。

ルーを使わずにスパイスだけで作る本格カレーは驚くほどおいしくて、みんな揃っておかわりをした。