翌日、桜路くんを勧誘しに行ったMEBIUSはきっぱりと断られて返ってきた。
「咲茉の言うとおりピアノ経験者ではあったけど、ピアノはもう二度と弾かないって理由で断られた」
昨日、ピアノ経験者が見つかり目を輝かせていた新はすっかり落胆している。
「ピアノはもう二度と弾かないって何かあったのかな?」
「さぁ? ただ何度も無理だって言われた。どこかの誰かさんより頑なだったからこれ以上勧誘しても気持ちは変わらないだろうな」
どこかの誰かさんって、もしかしてわたしのこと?
確かに何度も無理だって言って断ったけど⋯⋯。
「桜路も女子に誘われたらOKしてくれるかも! 頼む咲茉、桜路に声をかけてみてくれよ」
新はわたしの両手を握ると、うるうるとした瞳で訴えかけてきた。
「おいおい、新。お前と桜路を一緒にするなよ」
「そうだよ、新。それに咲茉ちゃんに勧誘まで押し付けるのは違うだろ」
「でも、せっかくピアノ経験者が見つかったんだ。このまま諦めきれねぇよ」
そうだよね⋯⋯。
新たちはずっと新メンバーを探していたんだから、一度断られたくらいじゃ諦めきれないよね。



