「好き」があふれて止まらない!


自分を信じてくれる人のために頑張ろうなんて思えたのは今、この瞬間が初めてだ。

「絶対に立つ。今よりももっと大きなステージに。俺たちには頼りになる作詞家もいるしな」

俺たちの歌が勇気や元気を与えるって言うなら咲茉の言葉も同じだ。

「プ、プレッシャーがすごい⋯⋯」

「必ず咲茉を大きなステージに連れていくから、そのときは一番後ろじゃなくて最前で見ろよ」

特等席を用意するから。

「一番後ろって⋯⋯わたしのこと見えてたの⁉」

「見えてたっつーか、むしろ咲茉しか見てなかった」

「⋯⋯奏人って時々、心臓に悪い」

隣を歩いていた咲茉がぼそっとつぶやく。

雑音にかき消された言葉を聞き返したけれど、咲茉は頑なに教えてくれなかった。