「MEBIUSの歌はみんなにたくさんの勇気や力を与えてるんだね。わたしもいつかそんな小説を書けるようになりたいって思った。みんなと過ごせた時間はわたしにとって本当に宝物だよ」
どれだけ時間がかかるかわからない。
でも、わたしもMEBIUSのみんなみたいに誰かの心に届くような小説を書きたい。
そう強く思った。
「何、今日で終わりみたいな話してんだよ」
わたしを見ながらため息をつく我妻くん。
「えっ? 最後の挨拶のためにここに連れてきてくれたんじゃないの?」
「ちげーよ。新も言ってただろ。まだまだMEBIUSのラブソングを聴きたい人がいるって」
「言ってたけど⋯⋯それは別にわたしじゃなくても」
次の曲は他の人に頼むこともできる。
「まだそんなこと言ってるのかよ」
「そうだよ! 俺ら円陣組んだ仲じゃん。これからも一緒にやっていこうぜ」
「比高さんの一番は小説だって知ってるから、無理のない範囲でお願いしたいな」
「こいつらもこう言ってるし。でも、比高が書きたくないって言うなら⋯⋯」
「か、書きたい!」
楽屋内にわたしの声が響く。



