「好き」があふれて止まらない!



「あ、我妻くん。ここってわたしが入ってもいい場所?」

どう見てもバックステージだよね?

「比高もMEBIUSの一員だろ」

一員って言ってくれるのは嬉しいけど、歌詞を書いただけのわたしがバックステージまで入ってきてもいいのかな。

絶対に場違いだよ⋯⋯!

スタッフの人に怒られないかビクビクするわたしと違って我妻くんは堂々としている。

白いドアの前で足を止めると、ノックもせずに中へと入っていった。

わたしも手を引かれたまま一緒に足を踏み入れる。

「我妻くん?」

戸惑う私の手をパッと離した我妻くん。

「おっ、比高じゃん!」

「いらっしゃい比高さん」

「へ⋯⋯?」

ここはMEBIUSの楽屋なのか、杉浦くんと二階堂先輩が笑顔でわたしを迎え入れてくれた。

それならそうと先に言ってくれたらよかったのに。変に緊張しちゃったよ。

だけど、見慣れた三人の前でも緊張はおさまらなかった。

MEBIUSの三人とは何度も会ったことがあるのに、今日は目が合うだけで心臓が跳ねる。

ステージに立つ姿が本当にかっこよかったから。