「次に披露する楽曲はMEBIUS初となるラブソングです」
我妻くんの言葉に会場から黄色い声が上がる。
わたしは今まで盛り上がっていたお客さんたちに自分の書いた歌詞を受け入れてもらえるのか、不安と緊張でいっぱいだった。
「最後の曲になります。聴いてください『はんぶんこ』」
他の三曲とは違うバラード調のイントロから曲が始まる。
『帰り道に君と寄ったコンビニ。せーので選んだアイス』
『何十種類もある中で同じものを選んだね』
『ふたりで笑って、はんぶんこしたアイス』
メロディーがつくだけで、こんなにも印象が変わるんだ。
我妻くんの包み込むような歌声が響いて、心に刺さる。
三曲目まで手を前後に揺らして乗っていたお客さんたちがこの曲では左右に手を振りMEBIUSの歌を聴いていた。
『これからもふたりで分け合っていこうよ』
楽器の音が止んで、会場内から拍手が湧き起こる。
「「「ありがとうございました」」」
MEBIUSは最後にお客さんに向けて一礼してからステージを後にした。



