「どうしてMEBIUSのファンだってわかるの?」

今日はMEBIUSの他にも四組の出演者がいる。

パッと見ただけではMEBIUSのファンなのか他の出演者のファンなのか見当がつかない。

「これよ。これ」

海音ちゃんは自分の左手首を指差した。

そこには青色のシリコンバンドが着けられていて、MEBIUSと書かれている。

「このグッズはMEBIUSがライブハウスで販売してるオリジナルグッズよ。つまりこれを着けてる人たちはMEBIUSのファンってわけ。ファンクラブの会員は全員持ってるわ」

前に並ぶ人たちを見てみると海音ちゃんと同じシリコンバンドを着けている人が大勢いた。

「咲茉は持ってないんでしょ?」

「うん」

グッズが販売されていることすら知らなかった。

「そうだと思ったわ。ほら、これ予備があるからあげる」

新品のシリコンバンドをわたしの手に握らせる海音ちゃん。

「いいの? 大切なものなんじゃ⋯⋯」

「実用以外に保存用と観賞用もあるし、クラス全員に配れるくらいは持ってるから平気よ。MEBIUSを応援するためには着けないと」

クラス全員に配れるって、うちのクラスは三十人いるよ⋯⋯?

海音ちゃんがMEBIUSの強火ファンであることを改めて感じる瞬間だった。