「いいのかな⋯⋯。わたしとMEBIUSは別世界の人間なのに」
同じように情熱を持っていても、わたしとMEBIUSは同じ場所には立っていない。
「別世界か。よく言われるけど、ひとりひとりがみんな別世界の人間じゃない? 別世界にいるならその場所まで飛んでいけばいいだけの話さ」
「千里は相変わらずキザだなー」
飛んでいけばいい。そんなふうに考えたことは一度もなかった。
ずっと遠くにいると思っていた人たちが、急に近くにいる人たちのように思えて肩の力が抜ける。
「ありがとうございます、二階堂先輩。わたし、今の言葉を一生忘れません」
「本当? 嬉しいな」
「じゃあ、新生MEBIUS誕生ってことで」
我妻くんが左手を差し出すと二階堂先輩がその手を取り、今度は自分の左手を杉浦くんへと差し出す。
杉浦くんも同じように二階堂先輩の手を取った。



