「好き」があふれて止まらない!


五限目の授業を終えて、わたしは我妻くんと一緒に旧校舎にある音楽室へと向かった。

昨日、何も言わずに帰ってしまったことを謝ると杉浦くんと二階堂先輩は「びっくりはしたけど」と言って笑って許してくれた。


「それじゃあ早速だけどこれ。比高が書いてきてくれた歌詞」

向かい合わせになるようにくっつけられた四台の机の上にルーズリーフが並べられる。

今からMEBIUSのメンバー全員でわたしの書いた歌詞をチェックするみたい。

「ありがとう、比高!」

「ありがとう比高さん。大切に読ませてもらうね」

「よろしくお願いします」

わたしは杉浦くんと二階堂先輩に頭を下げて、少し離れた席から三人の話し合いを見守ることにした。

自分の書いた歌詞を読まれるって、わたしの頭の中を覗かれるみたいでかなり恥ずかしい。

この時間だけでも音楽室の外で待機していればよかった。

「すげー! めっちゃあるじゃん。これ全部、曲にしたいな」

杉浦くんの言葉に二階堂先輩が「どれも魅力的だけど全部は現実的じゃないから」と返す。