「好き」があふれて止まらない!


あのあと、時間差で教室に戻ったわたしたち。

わたしと我妻くんが手を繋いで廊下を走っていたことはクラスメイトの耳にも届いていて、戻ったばかりの我妻くんに持永さんが詰め寄った。

「奏人くん! ファンクラブ会長であるわたしにちゃんと説明をして。比高さんとはどういう関係なの。特別なんて言葉じゃ納得できないわ」

特別という言葉に周りもざわめく。

わたしは自分の席で我妻くんがなんて説明をするのか耳を澄ましていた。

小説のことは隠してくれると思うけど、我妻くんの説明次第ではわたしの学校生活が一変する⋯⋯!

「比高はMEBIUSのマネージャーになったんだよ」

「マネージャー?」

マ、マネージャー⁉

わたしは持永さんと一緒になって驚いた。

マネージャーになるなんて初耳だよ⋯⋯!

我妻くんが今、考えてくれた理由なのかな。

「俺たちがもっと音楽活動に集中するためにサポートしてくれる人が必要だと思ったんだ」

「それだったらファンクラブ会長のこのわたしが⋯⋯!」

「MEBIUSのファンクラブには抜けがけ禁止のルールがあるって聞いたけど?」

「そ、それはそうだけど⋯⋯」