「ど、どうしてこれが歌詞だってわかったの⁉」
「わかるだろ、普通に」
わ、わかるものなのかな?
「俺たちの歌を聴いたら絶対に書きたくなると思ってたから」
「すごい自信。⋯⋯でも、そのとおりです」
MEBIUSの歌を聴いたら書かずにはいられなかった。
それに我妻くんが好きなものだけを詰め込んだ曲は胸に響いただけじゃなくて、わたしの好きも取り戻してくれたんだ。
本が好きで自分でも書きたい。
そう思って小説を書きはじめた。
それなのに最近は結果とか評価ばかりを気にして自分の本当に書きたいものを見失っていたんだ。
昨日は寝落ちするまで歌詞を書いて、本当は授業を受けずに寝ちゃいたい気分なのに、同じくらい小説を書きたくてたまらないの。
コンテストに向けて書いていたお話とは別の、わたしの好きだけを詰め込んだ小説を。
我妻くんとは同じ形、大きさじゃないかもしれないけれど、わたしの中にもちゃんと情熱はあったんだ。
我妻くんが、MEBIUSの歌が、見失いかけていた“好き”の気持ちをもう一度思い出させてくれた。



