明日なんてこなければいいのに。

そう願っても当然のように日は昇るわけで。

わたしはいつもどおりスマホのアラームの音で目を覚ました。

「⋯⋯咲茉、もう食べないの?」

朝食を半分以上残しているわたしを見て、お母さんが不思議そうな顔をする。

テレビからはお馴染みのアナウンサーさんの声。

画面の左上に表示された時刻は七時五分。

いつもならとっくに朝食を食べ終えている時間だ。

「何、具合でも悪いの?」

お母さんの手が額に触れて、熱がないか確認される。

「熱は⋯⋯ないわね。具合が悪いようなら今日は学校お休みする?」

「ううん。⋯⋯行く」

今日、休んでも問題が先送りになるだけだ。

だ、大丈夫。我妻くんは忙しくて楽譜を見ていない。

だから、小説にも気づいていない!

そう自分に言い聞かせて、なんとか学校までたどり着いたんだけれど──。

「比高って小説書くんだな」

わたしは今、旧校舎の片隅で我妻くんに壁ドンをされています⋯⋯!