「話にはまだ続きがあって……! それとは別に前に選外だった作品を一部書き直して違うコンテストに応募してたんだ。その作品が佳賞を受賞したの」

受賞という言葉の直後、新の顔に笑顔が戻った。

「すげぇじゃん咲茉!」

「ありがとう。賞金も出ないし、書籍にはならない賞なんだけど初めて受賞したからみんなには報告したくて」

佳賞の横に自分のペンネームを見つけたときは手が震えた。

「おめでとう咲茉ちゃん」

「佳賞だってすごいだろ」

「ありがとうございます、千里先輩。律もありがとう」

「咲茉ならいつか賞を取ると思ってた」

奏人はそう言ってわたしの肩にそっと手を置く。

「わたしが受賞できたのは、奏人のおかげだよ」

「俺?」

「前に言ってくれたでしょ? 賞が取れなかったからってわたしの小説がだめな作品になるわけじゃない。場所やタイミングによって評価が変わることだってあるって」

その言葉がなかったらわたしは自分の書いた小説をだめだと思ったままだった。

「確かに言ったけど、受賞したのは咲茉が努力したからだろ」

「そうそう。咲茉、合宿中もずっと小説書いてたじゃん! 俺ももっとドラムを練習して上手くならないと。負けてらんねー!」

「俺もバンドの活動と両立しながら、もう一度ピアノのコンクールにも挑戦してみようかな」

「そうだね。みんなで気合いを入れ直そうか」