「即興で曲を作るためにわたしとのエピソードをまとめただけかもしれないよ」
「それだけであんな素敵な歌詞は書けないわ。ほら咲茉、投票の時間よ」
周りの人たちが次々と赤と白の紙を掲げる。
わたしも慌てて赤の色を表にして掲げた。
「これは⋯⋯集計前に結果が出ましたね」
司会者の人の驚いたような口調に後ろを振り向くと、真っ赤に染まる客席が目に入った。
「三回戦の勝者はMEBIUSです。そして、MEBIUS VS グランツ夢の三番勝負は二勝したMEBIUSが勝利となります。MEBIUSのみなさんおめでとうございます!」
体育館は今日一番の歓声に包まれる。
ステージ上ではMEBIUSが抱き合いながら喜びを分かち合っていた。
会場の拍手はなかなか鳴り止まない。
グランツのメンバーは悔しそうな顔をしながらもMEBIUSの勝利を拍手で称えてくれていた。
「咲茉! やったわね」
「海音ちゃん⋯⋯!」
わたしと海音ちゃんもMEBIUSの勝利に抱き合って喜ぶ。
「それでは勝者のMEBIUSに一言いただきましょう」
司会者の人がステージに上がり、奏人にマイクを渡す。



