三回戦の対決内容が発表されたあと、MEBIUSとグランツは曲作りのために、いったんステージを降りた。

その間、ステージにはMEBIUSとグランツの動画が交互に流れていて、三番勝負が再開したのは三十分後のことだった。

先攻のグランツの曲が終わり、今から後攻MEBIUSの曲が始まる。

「次は後攻、MEBIUSの楽曲をお聴きください。『ルーズリーフ』」


⋯⋯ルーズリーフ。

律のピアノから始まったその曲は穏やかなメロディーだった。

『宙に舞ったルーズリーフの中から現れた君に一瞬にして目を奪われた』

『君の描く世界はあまりにも綺麗で、その世界を隣で見たくなったんだ』

『ふたりで見た星空を僕は一度だって忘れたことはない。君が僕を一等星だと言うならずっと輝き続けるよ』

『君が音楽以外興味のなかった僕に恋というものを教えてくれたんだ』

『だから今、こうして僕はラブソングを歌っている』

MEBIUSの曲が終わった瞬間、拍手が沸き起こる。

「この曲、ほんとに即興⁉」

「三十分で作ったとは思えないよね」

周りのお客さんがMEBIUSの曲の完成度に驚いている中、わたしは歌詞の意味を考えていた。

ルーズリーフ、星空、一等星。

「まるで咲茉に向けたラブソングね」

隣にいた海音ちゃんがわたしの耳元でそうつぶやく。