「な、なんだよそれ」
「また共演しようぜ。今度は戦い抜きで」
「⋯⋯気が向いたらな」
そう言って染谷はギター片手にステージへと歩いていった。
三回戦はトータルの得票数が少なかったグランツが先攻で始まる。
「⋯⋯まだ勝負はこれからなのになんだこの敗北感。本当、最後までかっこよくてムカつくなあいつ」
「MEBIUSのファンをかっさらうつもりで来たのに逆に秀のハートがかっさらわれちゃったね」
「だな」
「うるせーよ。お前ら」
舞台裏にいた俺たちにグランツの会話が届くことはなかった。
「続いてMEBIUSのみなさん、スタンバイお願いします」
今度は俺たちがステージに立つ番だ。
「はい」
俺は大きく息を吸ってからマイクの前に立った。
泣いても笑っても、これが最後の曲だ。



