「集計結果が出ました。第一回戦、勝利したのはMEBIUSです」
観声と悲鳴が同時に沸き起こる。
「やったじゃない咲茉!」
「よ、よかった⋯⋯」
まだ一回戦の結果が出たばかりなのにもう心臓が痛いよ。
二回戦は青春カバーソング対決。
先攻のグランツは今、動画サイトで流行っている曲を披露した。
「一曲目よりも歓声がすごい」
「さすが何百曲もコピーしてるだけあるわね。客層に合う曲を選んだんだわ」
後攻のMEBIUSは少し前に流行ったCM曲を披露。
結果は三票差でグランツが勝利した。
「一勝一敗。次の対決で決まるわね」
「それでは、第三回戦の内容を発表いたします」
当日まで発表されなかった勝負内容がついに明かされる。
「第三回戦は即興ソング対決です。お題は一回戦の反響を受けてラブソング対決とさせていただきます」
「即興⋯⋯ラブソング対決」
お題が発表されて海音ちゃんと顔を見合わせる。
「即興って今から曲を作るってことだよね?」
「ええ、しかもお題はMEBIUSが唯一、書けないラブソング。この対決どうなるのかしら⋯⋯」
海音ちゃんの表情が曇る。
観客席にいるだけで、何もできないのがもどかしい。
「MEBIUSなら大丈夫だよ」
わたしは海音ちゃんの手をそっと握った。
「そうね。信じて待ちましょう」
わたしは観客席で、奏人、新、千里先輩、律の顔を思い浮かべながら三回戦が始まるのを待った。



