「好き」があふれて止まらない!


海音ちゃんと一緒に作った『MEBIUS必勝!』の横断幕は二階に吊るされていた。

反対側にはグランツの横断幕も。

席に着いてから十五分後、開演予定時刻と同時にアナウンスが流れて、特別審査員が紹介された。

三回戦の内容はまだ明かされないままだ。

「ご来場の皆様、大変お待たせいたしました。ただいまよりMEBIUSとグランツ夢の三番勝負ライブを開演します」

大きな歓声に包まれて幕が上がる。 

ステージに立ったMEBIUSにスポットライトが当たって、わたしは祈るように手を組んだ。

「第一回戦はオリジナルラブソング対決です。まずは先攻MEBIUSの楽曲をお聴きください。『スターライト』」


『スターライト』のイントロが流れると客席がどっと沸いて、曲が終わる頃には観客席からメンバーの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「次は後攻グランツの楽曲をお聴きください。『FLASH』」

あの赤髪の人が染谷さん⋯⋯。

太田原先生の曲は歌詞もメロディーもキャッチーで誰もが口ずさみたくなるような曲だった。

グランツも何度もステージに立ってきただけあって、他校のステージでも堂々としている。

「皆様、投票のお時間です」

投票は赤色と白色の二色が両面印刷された紙を掲げて、多かった色のほうが勝ち。

MEBIUSは赤、グランツは白。

わたしと海音ちゃんは迷わず赤色を掲げた。