ついにこの日がやってきた。
「比高さん、二番さんの写真係をお願い」
「わかった!」
今日は一か月前から準備をしてきた文化祭の当日。
校内は大勢の人でにぎわっていて、わたしたちのクラスのフォトスポットも朝から大盛況だ。
わたしはお客さんのスマホを借りて写真を撮る撮影係。
「それじゃあ撮りますね。はいチーズ」
お花のモニュメントの前に立つ女子小学生ふたりの笑顔にわたしも自然と笑みがこぼれる。
「ご確認お願いします」
「わ~可愛い。お姉さんありがとうございました」
「今日、一日楽しんでね」
「「はい!」」
「比高さん、次は九番さんをお願い」
「わかった」
一組撮影を終えると、また次のグループがやってきてシャッターを切る。その繰り返し。
息をつく暇もないほど忙しいけれど、動いているほうが気が紛れてよかった。
途中でお昼休憩をはさみ、午後の当番の人と店番を交代。
わたしは受付係だった海音ちゃんと急いで体育館へと走った。
「わたしたちの席はここね」
整理番号とイスに書かれた番号を確認してから席に着く。
MEBIUSとグランツのライブ整理券は一瞬で配布終了。
立ち見席を望む声に急遽、二階が開放されて体育館内は早くも熱気に包まれている。



